朝、介護サービスからの連絡で、日常は一瞬にして色を変えた。
急いで実家に電話を入れると、出たのは父だった。
「母さんは朝から寝てるよ」
母が朝から嘔吐し、寝込んでいるという。
「母さんは朝から寝てるよ」
至極のんびりとした、まるで危機感のない声だった。
救急車を呼ぶように伝えても、
「いいって言ってた」
と繰り返すばかりだ。
「いいって言ってた」
と繰り返すばかりだ。
その遠慮が、事態を悪化させないだろうか。
受話器を持つ手が、焦りで冷たくなっていく。
介護サービスの判断
介護サービスの方が、
明日から父をショートステイに預ける手配をしてくれたという。
明日から父をショートステイに預ける手配をしてくれたという。
本来なら感謝すべきことなのだろう。
けれど私の心に浮かんだのは、
「無理だろうな」という冷めた予感だった。
けれど私の心に浮かんだのは、
「無理だろうな」という冷めた予感だった。
「融通」という言葉を知らない父
週に一度のデイサービスでさえ、午後になると「帰りたい」と騒ぎ、トラブルになる父。
週に一度のデイサービスでさえ、午後になると「帰りたい」と騒ぎ、トラブルになる父。
そんな父に、泊まりがけのショートステイが務まるとは思えない。
父は、徹底して「外」を拒絶する。
レンジで温めた食事には手をつけない。
インスタントの味噌汁も口にしない。
インスタントの味噌汁も口にしない。
以前、母が入院した際に手配した配食サービスも、父はこう言って突き放した。
「母さん以外の作った飯は食わん」
介護スタッフの方も、父の性格を熟知している。
「もし明日、ショートステイ先で帰ると言い出したら、私がお迎えに行きます。
「もし明日、ショートステイ先で帰ると言い出したら、私がお迎えに行きます。
ただ、日曜日は対応できないので、その時はお願いします」
おそらく――日曜までもたない。
明日、預けた瞬間に「帰る」と言い出す父の姿が、容易に想像できてしまう。
一歩を踏み出す、その重さ
電車に乗ることが、
今の私にはどれほど高い壁か。
今の私にはどれほど高い壁か。
うつ病という鎖を引きずりながら、
実家まで辿り着けるのだろうか。
実家まで辿り着けるのだろうか。
けれど、
母が倒れ、父が孤立している今、
私が動くしかない。
母が倒れ、父が孤立している今、
私が動くしかない。
明日は、何とか頑張って実家へ行こうと思う。
壊れかけた実家の門を叩き、
母の顔を見るまでは、
私の動悸は収まりそうにない。
母の顔を見るまでは、
私の動悸は収まりそうにない。
どうか、明日が平穏に終わってくれますように。
それだけを祈りながら。
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