【Macの記憶】20万円のソフト「QuarkXPress 3.3」と、狂乱のDTP黎明期。

2026年4月21日火曜日
QuarkXPress 4.1

Evernoteの整理をしていたら、一枚の古い納品書が出てきました。
そこに記されていた製品名は「QuarkXPress 3.3」。今のMacユーザー、あるいはiPhoneからAppleを知った人たちには、もう馴染みのない名前かもしれません。

かつてMacの世界には、このソフトを頂点とした「DTP(DeskTop Publishing)」という熱狂的な時代がありました。

今のAdobe InDesignが主流になるずっと前、Macでデザインをすると言えば、誰もがこの「Quark」の独特な操作感に心酔していたのです。

私がMacに触れ始めた頃、デザインの現場はまさにこのソフト一色でした。当時の空気感を思い出すと、今でも胸が熱くなります。OS 9までの不安定な環境で、ドングルを刺してはクラッシュに怯え、それでもMacでしか作れない世界があると信じていました。


ソフト1本が「20万円」した異常な時代

当時、個人でQuark3.3を購入しましたが、価格は確か20万円近くした記憶があります。さらに、バージョン4.0へのアップグレードだけで10万円弱。

今考えれば、何もかもが異常な価格設定でしたが、当時は「Macでデザインをするならこれしかない」という、ある種の狂気の中にいた気がします。

コピー対策として、キーボードとマウスの間に「ドングル」という物理的な鍵を挟まなければ起動すらできない。そんな不便さすら、プロの道具である証のように感じていました。

あの重厚な箱を開ける時の高揚感は、今のサブスクリプションでは決して味わえないものです。高いお金を払ってでも手に入れたい「何か」が、あの頃のソフトにはありました。

Quadra、ナナオ、ニコン. 個人がMacにハマるということ

当時の私の相棒は、QuadraかPowerMacだったでしょうか。それにニコンのスキャナー、ナナオ(現EIZO)のモニター。とにかく個人としてMacにどっぷりハマっていた時期です。

周辺機器を揃えるだけでも、車が一台買えるような出費でしたが、それが自分を磨く投資だと信じて疑いませんでした。プロの現場において、Quarkの動きは驚くほどサクサクと軽快でした。

対照的に、IllustratorやPhotoshopはとにかく重かった。一つのフィルター作業が終わるまでに「コーヒーが一杯飲めるんじゃないか」というほど待たされるのが当たり前。

それでも、この三種の神器を使いこなせれば「将来、仕事に困ることはない」とさえ言われていた、憧れのスキルだったのです。

驕れるQuarkは久しからず

「デザインといえばMac」という独壇場だった世界に、AdobeからInDesignが登場します。そこからのQuarkの凋落は、驚くほどあっという間でした。

「DTPにはQuark以外ありえない」というメーカー側の驕りが、時代の波を読み違えさせたのかもしれません。余談ですが、今でこそWindowsのイメージが強いExcelも、実は1985年にMacintosh向けに先行リリースされたソフトなんです。

私も初めてのMac、PowerBook 170と一緒に購入したのを覚えています。あのモノクロ液晶でセルを動かした衝撃は、今も昨日のことのように思い出せます。

Evernoteから出てきた一枚の納品書。それは、私がMacに情熱を注ぎ込んできた日々の、大切な証拠品でした。MACLIFELabという場所で、またこうして古い記憶をアップデートできることに、不思議な縁を感じています。


かつての憧れ「ナナオ」は、今も最高の相棒。

EIZO FlexScan EV2495 (24.1型カラー液晶モニター)

楽天で購入

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

MACLIFELab

MACLIFELab Icon
MACLIFELab
このブログのタイトル「MACLIFELab」は、はじめは「MACLIFE」としてスタートしました。その後、私自身のうつ病や父親の認知症などが重なり、サイトをまるっきり更新できない時期も長くありました。

そんな苦しい日々を送っていく中で、いまの私や認知症の父を支えてくれているのは、間違いなく「人」であり、そして「Mac」や「iPhone」でした。

接している人は少ないかもしれません。しかし、Appleやガジェットがくれる「時間」と「心の余裕」に、私は何度も助けられてきました。介護や体調管理という厳しい現実も、テクノロジーを上手に頼りながら、少しずつ生活を整えていく感覚で向き合っています。

日々の生活では、近くに住む父の認知症介護の手伝いや、自分自身のうつ病・脂質異常症(糖尿病予備軍)といった体調とも向き合いながら過ごしています。体調が良い時の趣味は、ポケモンGOや近所の散歩です。

2012年から続けているこのブログでは、Appleの進化とともにテクノロジーと向き合いながら、「便利さの先にある自分らしい暮らし」をテーマに、自分の視点で率率直に想いを綴っています。

ときにAppleやガジェットに対して辛口になることもありますが、それもすべて、一人の愛好家としてのリアルな感想であり、愛着の裏返しです。